ジメジメして汗ばむ季節になると気になるのが「水虫」だ。しかし、水虫だと思い込んでいたら実はそうではない「ニセ水虫」だったケースも多いという。しかも「ニセ水虫」は、患者だけでなく、医師も見誤ることがあるほどわかりづらいため、注意が必要だ。そこで、静かに忍び寄る水虫の感染経路と「ニセ水虫」に惑わされないための注意点を、水虫治療の名医として知られる仲皮フ科クリニック仲弥(なか・わたる)院長に聞いた。(聞き手/医療ジャーナリスト 井家真人)
4人に1人が水虫
足の指の間や裏全体にできる「3タイプ」
仲皮フ科クリニック院長。水虫治療のスペシャリスト。真菌のNeutral red染色の研究では、1995年度日本医真菌学会奨励賞を受賞。著書に『水虫は1ヶ月で治せる!』がある。
毎年、梅雨時から夏にかけて、水虫に悩まされる人が増えてきます。実は、水虫は日本人の4~5人に1人が感染している国民病といわれています。実際に、過去に行われた日本臨床皮膚科医会の調査で、全国の3万4000人以上の皮膚科患者を対象に診察したところ、4人に1人が足に何らかの水虫を持っていると診断されました。なお、この調査では、水虫が理由で来院した人はすべて除いてあります。
水虫とは、どのような病気なのでしょうか。水虫は、「白癬(はくせん)菌」というカビ(真菌)の一種が、皮膚の一番外側にある角質に感染して起こる感染症です。そして、この白癬菌が足に感染したものが「足水虫」になります。
白癬菌は、角質が大好物で、角質を餌にしながら繁殖していきます。すると皮膚は、それを異物とみなして排除しようと抵抗し、その免疫反応として、水ぶくれや赤み、かゆみなどの症状が起こってきます。これが急性型水虫で、足の指の間に発症する「趾間(しかん)型」と、足の指の付け根や土踏まずに発症する「小水疱型」の2つのタイプがあります。
これらの急性型水虫は、白癬菌の活動が活発になる高温多湿の梅雨時から夏にかけて、症状がピークを迎えます。この時期に水虫の患者が増えるのはそのためです。白癬菌の活動が低下する秋から冬にかけては、一時的に症状もおさまりますが、白癬菌は足にすみついたままなので、梅雨時期になるとまた症状が現れてきます。