サニブラウン・ハキーム選手(フロリダ大)が立て続けに9秒台をマークし、世界選手権やオリンピックで日本人初のメダルを獲得する期待が高まっている。
5月に初めて9秒台(日本歴代2位となる9秒99)で走ったサニブラウンは、6月6日のNCAA全米大学選手権準決勝で追い風参考ながら9秒96を記録。さらに翌日の決勝で9秒97、桐生祥秀選手の持つ9秒98の日本記録を更新した。
サニブラウンは早くからその才能の片鱗を表し、世界の陸上界から注目を集めていた。
2015年7月、16歳(高校2年)で出場した世界ユース選手権では100m、200mで優勝。同年8月の北京世界陸上の男子200mで準決勝進出を果たした。これは史上最年少記録で、同年代での記録を比較すると「あのウサイン・ボルトをしのいでいる」と話題にもなった。
そのサニブラウンが、20歳を過ぎていよいよ第一線で活躍を始めたというわけだ。
あのカール・ルイスも認める
サニブラウンの恵まれた身体と才能
1984年ロス五輪で4冠を制するなど一世を風靡したカール・ルイスさんも、ヒューストン大のコーチとしてサニブラウンのレースを見ていた。
「彼は素晴らしいアスリートだ。この大会は過小評価されているが、世界大会と同じくらいの大会。ここでうまくやれたら、他でもやれる」とコメントした。
カール・ルイスはこの全米大学選手権の100mで優勝している。彼が世界に名をとどろかせたのは、ロス五輪の前年1983年8月に開かれた第1回ヘルシンキ世界陸上だった。このときカールは22歳。大学を卒業してまもなく世界陸上で3冠を制した。その自分の経歴を重ねて、サニブラウンの可能性を語ったのではないだろうか。
サニブラウンはガーナ人の父と日本人の母の間に生まれた。身長188センチ。恵まれた身体の持ち主であるのは言うまでもないが、カール・ルイスの現役時代を改めて調べて驚いた。