世論形成に
必要不可欠な親日国の根固め

 日本では、WTO上級委員会の結論に関して納得がいかないとの意見が多い。ただ、その気持ちを短絡的に発信しても、得られるメリットは限られることだろう。むしろ、虚心坦懐(きょしんたんかい)に今回の反省を生かすことが大切だ。

 わが国が徹底すべきことは、丁寧な説明や根回しによって関係国の利害を調整し、自国の主張に賛同が得られる環境を実現することだ。それが、自国の発言力向上につながる。

 日本が国力を維持し、それをさらに高めるために極東地域の安定は必須だ。米中の摩擦激化を受けて先行き不透明感が高まる中、わが国は各国との関係を強化し、「日本の主張が極東地域の安定に重要」という国際世論を形成すべきだ。それが、自力で国力を引き上げることにつながる。

 国際世論が日本に賛同すれば、いずれどこかの段階では韓国もその世論を無視できなくなるはずだ。それでもなお、韓国が国際世論を無視して、日本からの要請に背を向けるのであれば、韓国は、本当に国際社会から孤立してしまうだろう。身勝手が許されないということを、韓国自らが自覚せざるを得ない状況を作り出すことがわが国政府に求められる。

 6月に入り、文大統領はWTOに禁輸措置を認めさせた公務員を褒めたたえ、世論の関心を引こうとしている。この状況の中、日本企業の資産が差し押さえられるという実害が生じる可能性は高まっている。政府が実害の発生を阻止するためには、多くの国から賛同を取り付け、韓国に対する自国の主張の正当性が客観的に担保される状況を目指す必要がある。

 わが国が韓国を感情的に扱う必要はない。むしろ、冷静沈着に親日国の輪を作り上げることに注力すべきだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)