KDDIとソフトバンクは、総務省が5月30日に開いた有識者会議で、違約金の水準について「1契約者当たりの月間売上高(ARPU)」を基準にする案を提示したばかり。現在の大手3社のARPUは4000~5000円で、「この水準で総務省から違約金の案が打診されていて議論もしていた」(通信大手関係者)との証言もある。

 だが、そこからわずか1週間後に報道されたのが1000円の案だった。「寝耳に水」(前述の関係者)の大手3社が反対意見を表明する間もなく、18日の有識者会議でルール案がまとまった。

 総務省が豹変したことについて、18日の有識者会議でも「1000円の根拠の議論が足りない」との指摘が一部の委員から出たほどだ。複数の関係者が、総務省と通信大手が議論してきた違約金の水準が6月に入って急に覆されたことを明らかにしており、「参院選を意識する官邸の意向で総務省は違約金の水準を引き下げた」との見方が強まる。

 だが、当初は激しく反発していた通信大手も、総務省の強硬な姿勢が明らかになるにつれ、「省令改正は総務省の専権事項だから」(関係者)と諦めムードをにじませる。

 かつては認可制だった携帯料金は、1995年の電気通信事業法改正で届け出制に変更となり、2004年の規制撤廃で自由化されて事業者が決められるようになったが、今秋施行の改正法で、総務省と携帯各社には新たな緊張関係が生まれることになりそうだ。

 NTTドコモとKDDIは、6月から改正法の趣旨を先取りして新料金プランを導入したが、総務省が2年縛りを事実上禁止する方針を示したことで、見直しを余儀なくされるのは確実だ。同省は、携帯電話会社の料金体系を間接的にコントロールする権限を手に入れた。

 総務省が、大手3社の9500円の違約金を目の敵にするのは「ユーザーが携帯会社を乗り換えるときに壁になる」と判断しているからに他ならないが、その裏には、10月から携帯事業に参入する楽天への移行を促す狙いも透ける。

 楽天が出す格安の料金体系に既存の大手3社が対抗するという構図をつくり上げ、各社からもう一段の携帯料金の値下げを引き出していく方針だ。