キューバのミサイル危機のさなか、当時のジョン・F・ケネディ米大統領はディーン・アチソン元国務長官をシャルル・ド・ゴール仏大統領のもとに派遣し、米国の調査結果や意図を説明させた。これは決して簡単な任務ではなかった。フランスはすでに独立した立場を主張しつつあり、その後、北大西洋条約機構(NATO)の統合軍事機構から脱退することを決めた。アチソン氏がド・ゴール大統領にキューバ国内にあるソ連製ミサイルの画像を示し始めると、大統領はそれを制止。「いや。私には米国の大統領の言葉だけで十分だ」。ミサイル配備をめぐるケネディ大統領のソ連への対決姿勢を同氏は支持しなかったが、それでもこう言い切った。もう昔の話だ。一連の出来事をへた今は、もはや米国の同盟国も米政権幹部も大統領の言葉を信じていない。それはベトナムに始まり、イラク戦争に続き、ドナルド・トランプ大統領のウラジーミル・プーチン露大統領との親密な関係(情報機関は否定するが)で最高潮に達した。