2000ルピー米FRBの利下げ観測を背景に、新興国に資金が流入し易い環境となっている。その中で、最も注目され株価が急上昇しているのがインドだ(写真はイメージです) Photo:123RF

インド株は過去最高値圏
高い経済成長への期待も

 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を背景に、新興国に資金が流入し易い環境となっている。その中で、インドの主要株価指数のSENSEX指数は6月上旬に史上初めて4万の大台を突破し、過去最高値圏に浮上している(図1参照)。伸び悩む中国の上海総合指数とは対照的だ。

 インド株と中国株との間で値動きが異なる理由の1つは、米中貿易摩擦の影響だろう。最近は米・インド間でも貿易に関する小競り合いが始まっているが、覇権争いも含む米中とは次元が違う。投資家の間では、世界の2つの経済大国の米中が争い、お互いが足を引っ張り合うなか、インドが経済の様々な点で「漁夫の利」を得る、という見方があるようだ。

 インド株と中国株の値動きが異なる別の理由として、経済成長に対する期待の違いもある。インドの人口は2020年代には中国を抜き、世界1位となる見通しだが、経済成長にとって影響が大きい生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)をみると、中国では1人っ子政策の影響を受けて2010年頃を境にすでに減少に転じている。一方インドは、2040年代まで生産年齢人口が増え続ける可能性が高いといわれている。

 若い人が増え、消費が活発化することは、経済成長の強力な牽引役となる。インドは財政・経常赤字や不良債権問題、独特な身分制の弊害など様々な問題を抱えるが、この確固たる牽引役の存在が、当面の高い経済成長をサポートする要因となろう。