「役に立つ成年後見」のための3つの提案

 認知症高齢者がますます増えることが確実視される将来に向けて、成年後見制度の法規と運用に関して以下の3点を提案したい。

(1)株式会社法人の後見人を認めて普及させる
(2)貢献・監督の報酬の競争的でオープンな相場形成
(3)後見人の交代手続きのルール化

(1)株式会社による成年後見のメリット

 そもそも、現在の利用者数よりも桁違いに大きいはずの潜在的利用者のニーズに対応するためには、弁護士、司法書士などの士業者が、属人的に対応するかたちでは、能力・能率両面で無理があるのではないだろうか。

 後見人は、本来、被後見人本人及び家族等の関係者と十分に対話し、被後見人本人に合った福祉・介護の施設やサービスを利用しつつ、本人の幸せにつながる本人財産の利用を判断しなければならない。高齢者医療や福祉、介護などの知識が必要だし、カウンセリングのスキルも要る。

 また、かつての禁治産者制度の名残なのかもしれないが、認知症高齢者の金融資産が有効に運用されることなく銀行預金に留め置かれることは、被後見人本人にとっても、相続人にとっても無駄が大きい。ついでに言うなら、社会的にも、高齢者の資産がどんどん現金化されて預金に滞留することが好ましいとは言えない。将来の相続も視野に入れた上で、資産運用を行うサービスがあってもよいはずだが、法律士業の職業後見人が資産運用の知識を持っているとは限らない。

 さまざまな専門家をそろえた法人が後見人に就くことのメリットは小さくない。

 また、多くのスタッフをそろえた株式会社が後見人になる場合、被後見人本人と担当者の相性が悪い場合に、別の担当者にスムーズに交代することができよう。病や急死のリスクがある個人が後見人である場合よりも、法人の方が継続的に後見を行うことができる点もメリットだと言えるはずだ。

 加えて、財産目録を作成したり、関係者とコミュニケーションを取ったりする点でも、法人組織の方が作業の効率化を図りやすいだろう。成年後見サービスの知名度アップのための広報活動にも適する。

 成年後見ビジネスを行う株式会社が複数できて、競争的に発展するようなかたちで成年後見制度が普及していくことが望ましいのではないだろうか。