米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は切り札を隠し持っていたようだ。近いうちにそんな切り札があと何枚か必要になるだろう。テスラは2日、4-6月期(第2四半期)の納車台数が9万5200台に達し、それまでの最高だった2018年10-12月期の9万0700台を上回ったと発表した。アナリストのコンセンサス予想は約9万1000台だった。このところ上げ基調だったテスラ株は、3日午前の取引で一段高となった。発表は確かに喜ばしい内容で、少なくともしばらくの間、株価はさらに上値を追う可能性がある。とはいえ、このところ抱えている問題を過去の物とするには程遠い。第一に、テスラが今夏に決算を発表するまで、この四半期の記録が実際に利益を生んだか投資家は知ることができない。懐疑的になるもっともな理由もある。テスラは4-6月期に高級セダン「モデルS」とスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルX」を合わせて1万7650台納車した。いずれも大衆向けセダン「モデル3」より高価格で利益率が高い車種だ。モデルSとモデルXを合わせた納車台数は、同社が小幅な黒字となった10-12月期の2万5161台より少ない。