ビジネスパーソンは、とにかく忙しい!少々カラダに不調があっても、なかなか病院に行けない、誰に相談したらいいかわからない、料金もいくらかかるのか…そう思っている人も多いはず。この連載は、所属している医師がすべてイケメンの「イケメンドクターズ」(NHKの『ごごナマ』でレギュラー出演も!)の先生方が、みなさまのお悩みに答えます。第5回は、「がん検診」のメリットとデメリットについて考えます。
会社から「がん検診」を受けるように言われていますが、あまり気が進みません。メリットは早期発見だとはわかるのですが、デメリットがあれば教えてください。(40代・男性)
がん検診は2種類あることを
知っていますか?
検診とは「ある特定の病気にかかっているかどうかを調べるための検査・診察を行うこと」で、特定の病気を早期に発見して治療することを目的にしています。
がん検診は、がんを早期に発見・治療して、最終的にはがんによる死亡を防ぐことが目的です。今回はそのがん検診について、説明していきたいと思います。
がん検診には、(1)対策型検診と(2)任意型検診の2つがあり、目的が大きく異なります。
(1)の「対策型検診」とは、がんの死亡率を下げることを目的に、公共政策として行うがん検診のことです。有効性が確立されており、検診のメリットがデメリットを上回ることが明らかな検査が行われます(検診のメリット・デメリットについては後述します)。
公的な予防対策として行われる検診ですので、費用は無料か、数百円など少額の自己負担で済みます。住民検診や、地域のかかりつけ医などで行われるものが該当し、お住まいの市区町村など各自治体に検診の窓口があります。
一方で、(2)「任意型検診」は対策型検診以外のものを指し、代表的なものは医療機関や検診機関などが行う人間ドックなどです。医療機関が任意で提供する医療サービスであるため、料金は基本的に全額自己負担で、中には10万円を超えるような高額なものもあります。
「任意型検診」には、対策型検診で採用されているもののほかにさまざまな検診方法があり、中には有効性が確立されていない検査方法などが含まれる場合もあります。
また、検診を受けた場合にメリットがデメリットを上回るかについても、実は科学的な強い根拠が証明されていないことも多いといえます。
ただし、有効性には個人差もあり、「任意型検診」の中には、人によってがんの発見に非常に有効な検査もあります。