あらゆる企業で残業規制が進んでいる。「働く人」にとってプラスであるはずの試みだが、現場では不満の声もあるという。20代を中心とした若手世代では、「ブラックな働き方」に対する嫌悪感がある一方、自分自身の成長を考えるとやみくもに働く時間を制限されることに不安を感じる人も少なくない。働き方が大きく変わろうとしている今、若手のキャリア形成はどう変化すべきなのだろうか。
働き方改革関連法が施行され、3ヵ月が経過した。経団連が行った2018年労働時間等実態調査によれば、年間の平均時間外労働時間は一昨年の時点で減少傾向にあった。今回、時間外労働の上限規制が設けられたことで、ますます多くの職場で労働時間が厳密に管理され始めたことだろう。
一方で、各社がこぞって取り組む残業規制に、現場の若手社員からはこんな声も聞こえてくる。
働き方改革って面倒くさい――。
「規定された時間を超えると人事から逐一指導があり、正直窮屈だなと感じる。時間だけの一律の規制で、あまり現場のことを考えられていないと思う」(広告代理店に勤務する20代男性)
「残業ができないので、さばくように仕事をしていると感じる。もう少し時間があれば、もっとお客さんのためになることができるのではないか、と不甲斐ない気持ちになることがある」(通信会社に勤務する20代女性)
もちろん、彼らも「ブラック企業」で働きたいわけではない。肉体的、精神的にすり減らすように働くことが良いとは思えない。ただ、今の仕事は窮屈で、物足りない…。
残業規制により大きく働き方が変化するなかで、「この働き方は正しいのだろうか」「このままの仕事で自分は成長できるのだろうか」と自身のキャリアに不安を持つ若手社員が出てきている。