株価は上昇したのに
なぜ損をしている人がいるのか

 図1を見ていただきたい。運用利回りで最も多いのは2.0%超~3.0%以下の31.3%、その次に多いのが1.0%超~2.0%以下の20.8%であるから、約半分が1~3%の利回りに収まっているということになる。

 1%以下の11.4%は、恐らく最初からずっと定期預金などの元本確保型で運用していた加入者であろうことは容易に想像できる。このグラフの中で最も問題なのが0.0%以下、すなわち元本を割っている人たちの割合である。比率でいえば2.6%に過ぎないので、あまり大きな影響はないように思われるが、よく考えてほしい。確定拠出年金が始まった2002年頃から比べると、国内外ともに株価は大きく上昇している。もちろん途中の2008年にはリーマンショックもあったが、それらを乗り越えてさらに株価は上昇を続けている。普通に考えれば、0.0%以下、つまり損をしている人などいないと考えるべきだろう。特に確定拠出年金における投資方法は、基本的には積立投資である。

 図2をご覧いただくとおわかりのように、2002年末から毎月1万円ずつ積み立てた場合、日本の株式だけに投資した場合でも積立総額189万円が361万円となっているので、約1.9倍、全世界の株式に分散投資したと仮定すれば、同じ積立額が約2.3倍になっている。

 もちろん、頻繁に売買をし、かつそのタイミングが悪ければ損になることもありうる。しかしながら、企業型確定拠出年金の加入者はほとんどがサラリーマンであるから、頻繁に売買をしている人など、ほとんどいないだろう。しかも運用対象は株式ではなく、投資信託である。にもかかわらず、元本を割っている人が2.6%もいるのだ。もしこの割合を企業型の全加入者に適用すれば、19万人もの人たちが元本を割っていることになる。

 一体どうしてこのようなことになるのか?考えられることは一つである。それは大きく下落した時に不安に襲われ、それまで投資信託で運用していたものを売却し、定期預金等に切り替えて今日まで動かさなかった場合である。