昨年10月、コンビニ大手のローソンが2025年をめどに、デジタル技術を導入することを発表した。レジの無人化や商品陳列の自動化を進め、全商品にICタグを導入することで、店員1人体制でも店舗を営業できるよう仕組みを整えるという。コンビニ業界の働き方が、今大きく変わろうとしている。そこで、コンビニ社労士®の安紗弥香氏に業界が抱える課題と今後の展望について聞いた。(清談社 島野美穂)

デジタル技術導入は
未来のスタンダード

ローソンのデジタル技術導入によるワンオペ化は成功するでしょうか?
公共料金支払いやマルチコピー機に始まり、カーシェアや電気自動車充電も登場するなど、増え続ける付加価値サービスによる業務高度化がバイトを苦しめている Photo by Akiko Onodera

 ローソンのデジタル化導入について、ネット上の反響は実にさまざまだった。業務量が減ってスタッフへの負担が軽減するという好意的な見方がある一方で、「混雑時、客への対応は間に合うのか」「深夜帯の防犯面はどうなるのか」など、ワンオペ化が、スタッフの負担を増やすのではとの不安の声も多い。

 しかし、安氏は現段階でメリット・デメリット両方あるとしたうえで、「デジタル技術の導入は必然で、将来的にはどの店舗でもスタンダードになる」と予測する。

「昔に比べ、現在のコンビニは、とにかく業務量が増えました。にもかかわらず、スタッフ数は増やせないまま。多くの店舗が人手不足にあえいでいます。特に都心はその傾向が顕著で、オーナー自らが長時間、現場に立っていることも珍しくありません。現状のオペレーションで、24時間営業を続けることは現実的に無理というところまできています」

 従って、デジタル技術を導入することは、当然の措置なのだ。

 コンビニの人手不足は今に始まったことではないが、セブン-イレブン東大阪南上小阪店が、本部の承諾を得ずに時短営業をしたことがニュースになったことで、問題の深刻さが浮き彫りになった。同店が半ば強引に時短営業に踏み切った背景にも、深刻な人手不足があったという。SNS上では、同様の悩みを持つコンビニ従事者たちの投稿が相次いだ。

 ローソンがデジタル技術を導入したのも、こうした状況を打破するためだったと考えられる。

「ローソンは、ナチュラルローソンや100円ローソンなど、新業態に積極的です。人材育成に関しても積極的で、アルバイトスタッフがやりがいを持って働けるように体系的なスキルアップ制度を採り入れている企業でもあります。他社よりも早くにデジタル化を取り入れたというのも、企業の性格が表れているといえます」

 しかし、いくらデジタル化が既定路線とはいえ、ワンオペ化がスタッフの負担を増やすのではという不安は拭いきれない。いっそのこと無人にしてもよさそうなものだが、実は「人を置くこと」こそ、コンビニの価値のひとつなのだと安氏は言う。

「コンビニは、人がいることで成長・発展していった小売店です。店に行けば必ず誰か人がいる、深夜でも明かりがともっているという安心感が、コンビニを日本社会のインフラへ成長させました。デジタル技術をどれだけ取り入れようと、“人がいてこそのコンビニ”という概念は、各社共通のテーマです。たとえワンオペでも、人を配置したいというのは、そういった意味合いも強くあるのだと思います」