【東京】ソニー、ソフトバンクグループ、野村ホールディングスといった企業が相次いで自社株買い計画を発表した。投資家は、日本企業のトップがようやく株主の利益に関心を寄せるようになったとして、この動きを歓迎している。
アイ・エヌ情報センターによれば、日本企業が昨年発表した自社株買いは6兆0590億円と、2004年の調査開始以降の記録を塗り替え、それまでの過去最高だった16年の額を4%上回った。
アイ・エヌ情報センターによると、今年上半期に発表された自社株買いは合計5兆8250億円。前年同期に比べて2倍余りに増えた。
自社株買いがごく一般的な米国とは、環境が非常に異なる。米国では自社株買いが政治的議論の対象になり、株式相場の主な支援材料だと広くみなされている。
対照的に、日本企業は株主還元を出し惜しみする一方で必要以上にキャッシュや証券をため込む、と投資家やアナリストは長年批判してきた。だが15年のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の導入や、要求の多くなったアクティビスト(物言う株主)など投資家からの圧力を受けて、経営陣が行動を起こすようになった。
クレディ・スイス・ジャパンの松本聡一郎最高投資責任者(CIO)は、双方のプレッシャーが相まって、日本企業の経営陣が徐々に何をすべきかを理解するようになった、と話した。