加えて、これまで輸出管理を包括的許可とすることに伴い、2年ごとに運用実態をチェックする協議が行われることになっていたが、文在寅政権発足後、まだ一度も行われていない。こうしたことから、これら3品目について包括許可を与えることは困難と判断したのだ。

 しかし、韓国は政府・国民をあげて、日本の輸出管理の運用方法の見直しを報復措置であると反発しており、WTO違反であるため協議と撤回を求めると主張している。韓国政府にとって、これが輸出管理上の日本の国内問題であると認めることは、日本への対抗措置を取りづらくすると判断したのかもしれない。

 輸出管理上の国内運用問題だと認めてしまえば、韓国政府は対抗手段がなくなり、自らの手足を縛ることになってしまう。WTOで争うことはより困難となり、米国に助けを求めることもできなくなるだろう。また、北朝鮮との関連で自ら制約要因を課すことになりかねない。

 自分の主張だけを正当化しても、そこに客観性が伴わなければ誰も説得できない。韓国の主張通りならば、日本が全面禁輸措置を取っていたかもしれないと考えたことはあるのだろうか。自分の都合だけで判断しないで、客観的に状況判断すべきではないのか。

韓国は日本が包括的な輸出許可に
応じる信頼を損なった

 日本が包括許可を個別許可に切り替えた要因の一つが、輸出管理に関する協議が3年間行われていないことである。

 韓国は、協議を行う時期に、日本の担当局長が欠員であったことを上げていた。しかし、日本政府は2日後に、局長は在職であったことを明らかにした。仮に当時欠員であっても、新局長が就任してすぐ開催すればいいことであり、3年間も開かない理由はない。

 そもそも、この協議は通常課長レベルで行っているものだ。これらを勘案すると、韓国の主張がいかに根拠のないものか一目瞭然である。

 5月17日付けの朝鮮日報は、保守系野党議員の要請を受け、産業通商資源部が情報開示した「戦略物質 無許可輸出摘発現況」に関し報じている。その156品目の内訳は、生物・化学兵器関連物質71件、通常兵器関連物質53件、核兵器関連物質29件などとなっている。この不正輸出先には、中国、ロシア、シリア、イラン、パキスタン、アラブ首長国連邦など、北朝鮮と関係の深い国が含まれており、こうした品目がこれらの国々を経由して北朝鮮に流れていたとしても不思議はない。