「100年安心」といわれる日本の年金は、本当に大丈夫なのか。長妻昭氏は「老後資金2000万円」問題を見て、「消えた年金」問題の記憶が蘇ったという

「老後資金2000万円」問題をきっかけとして、日本の公的年金制度に対する国民の不安が募っている。「100年安心」といわれる日本の年金は、本当に大丈夫なのか。かつて民主党政権で「ミスター年金」と呼ばれ、社会保障制度改革に奔走した長妻昭・立憲民主党代表代行に、年金制度の課題とあるべき社会保障の姿を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

「老後資金2000万円」は
「消えた年金」を思い出させる

――「老後資金2000万円」問題が波紋を広げています。金融庁の報告書の内容と、それを議論の俎上に載せようとしない政府の姿勢に対し、「自公政権のいう『年金100年安心』は嘘じゃないのか」と国民の不安が噴出した格好です。今回の騒動をどう見ていますか。

 政策立案にとって最も重要なのは、現実を直視するということ。その意味では、安倍内閣は見たくない現実から逃げたと思います。安倍首相は報告書について、国会で「誤解や不安を広げる」と言っています。私はそれを聞いて、2007年に自分が自民党や官僚を追及していた「消えた年金」問題を思い起こしました。そのときも、消えた年金5000万件について対策を求める私の質問に、当時の安倍首相は「不安を煽る」と答弁し、フタをして逃げ切ろうとしました。

 当時我々は徹底的に問題を追及して、今や約1521万人、約2.7兆円分の年金記録を回復しました。しかし、安倍首相は「最後の1人まで全てお支払いする」と言っておきながら、残りの記録をうやむやにした。今回の問題はもっとひどいです。話そのものにフタをして、参院選に突入しようとしているのだから。この機にちゃんと議論すれば、年金制度の綻びを正すための道筋が示せたのに、残念です。

 老後に2000万円不足するという見通しは、国民の実感からしてもそう。金融庁の報告書で不十分ならば、野党からの提案にも応えてちゃんと議論して、追加報告書をつくるというのが、政府のあるべき姿だと思います。