米・イラン対立は
トランプ政権が引き起こした

 現在起きているイラン核合意をめぐる米国とイランの対立は、ひとえにトランプ政権が引き起こしたものだ。米・露・英・仏・中・独の6ヵ国とEUはイランの穏健派政府との2年以上の交渉の結果、2015年7月「イラン核合意」に達した。この合意では、イランは少なくとも15年間は、原子炉の燃料用の3.67%以上の濃縮ウランやプルトニウムを製造せず、濃縮用の遠心分離機の大幅な削減をし、その見返りにイランに対する経済制裁は解除することを定めている。

 国連安全保障理事会もそれを支持する決議をし、IAEA(国際原子力機関)は2016年1月、イランが合意を完全に履行したことを確認した。これで経済制裁は解除に向かい、話し合いによる解決の成功例となった。

 ところがトランプ大統領は2018年5月、一方的にイラン核合意離脱を宣言、経済制裁をすべて再発動した。米国はイランと取引をする外国金融機関等の企業にも制裁を再導入するとしている。それまでの対話の努力をすべてひっくり返す米国の離脱にはイランはもちろん、他の合意署名国も怒り、英、仏、独が遺憾の意を共同で表明したのは当然だ。

 このためイランは7月7日、核合意で上限とされたウラン濃縮3.67%を超えた4.5%濃縮を行うことを宣言したが、核兵器用の濃縮ウランはウラン235の比率が90%以上であり、4.5%は核兵器開発には程遠い。経済制裁が解除されないことへのイランの不満を示すジェスチャーにすぎない。

 米国はこれを「核合意違反」と非難するが、自国は核合意離脱を宣言。経済制裁を再開し、合意をほごにしたのだから、まるで契約を破棄して商品の代価は支払わず、「納入しないのは契約違反」と騒ぐようなものだ。

「日本タンカー襲撃」でも
米国の主張は不自然

 6月13日にホルムズ海峡の出口であるオマーン湾で日本の国革産業が運航するタンカー「コクカ・カレイジャス」(パナマ船籍、1万9000総トン)と、ノルウェー企業が運航していたタンカー「フロント・アルタイル」(マーシャル諸島船籍、6万3000総トン)が爆発物による攻撃を受けたこの事件につき、米国は「イランに責任がある」と主張、中東地域を担当する米中央軍は「攻撃は吸着水雷(Limpet Mine)によるものだ」との声明を出した。また「イランの革命防衛隊が不発だった水雷を日本のタンカーから回収し、証拠隠滅している状況を米軍が撮影した」とする“証拠写真”を公表した。だがこの主張には極めて不自然、矛盾した点がある。