子育て中の親の悩みが幸せに変わる「29の言葉」を紹介した新刊『子どもが幸せになることば』。発売半年を待たず現在「4刷」と大きな注目を集めています。著者であり4人の子を持つ田中茂樹氏は、20年、5000回以上の面接を通して子育ての悩みに寄り添い続けた医師・臨床心理士です。

本記事では、子どもが興味を持って何かに取り組み始めた時、親がついやってしまいがちな「失敗」についてお伝えします。(構成:編集部/今野良介)

「最初が大事だから、基本をしっかり」

友人の話です。7歳の息子さんに「キャッチボールしよう」とせがまれてグローブを買いに行き、近所の公園で、初めてキャッチボールをしたときのこと。

その友人は学生時代に野球をやっていたこともあり、息子とキャッチボールができる日をすごく楽しみにしていました。

そして待ちに待ったその日。公園でキャッチボールを始めると、その友人は、息子のボールの持ち方や、投げ方、捕り方などが気になってしまったと言います。

そしてつい、一つひとつ、熱心に教えてしまった、と。

はじめは「僕のボールはすごいんだよ!」とやる気満々だった息子さんは、10分もしないうちに、しょんぼりしてしまい「もうお家に帰る」と言い出したそうです。友人はそこでようやく「しまった、やりすぎた!」と思ったそうですが、もう遅かったようです。

次の日曜日、息子さんに「キャッチボールやろうか」と誘ってみたのですが、「絶対いや!」と断られてしまったと嘆いていました。

これと同じような「失敗」に、よく出会います。

子どもが何かをやり始めたとき、すぐに「少しでも上手にできるように」とか「最初が大事なので、基本をしっかり」などと、悪い意味で「教育的」であろうとするケースがあります

何よりもまずは、好きになること。そこに目標を置くのです。子どもがいま、目の前の新しい体験にどう向き合っているか。どう感じているか。親も一緒に感じてみるのです。そうやって余裕をもって向き合えれば、子どもも親も、ずっと楽しくすごせます。

 

嫌いにさせてしまったら、元も子もなくなります。

 

たとえば、アドバイスしたらうまくいきそうなことを見つけたとしても、子どもが自分でそれを見つける喜びを奪わない。つまり、「下手なままでいさせてあげる」という選択肢があります。子どもが自分で試みて失敗し、そして自分で立ち直っていく体験を、奪わないようにするのです。自分で上手になっていくことの邪魔をしないのです。

もちろん、子どものほうから「教えて」と頼んできたら、教えてあげたらいいと思います。その時も、しつこくならないように、ちょっと意識してみてください。自分があえて教えなくても、子どもは自分の失敗を通して自ら修正しながら、周りの大人や仲間に教えられたりして、できることがだんだんと増えていきます。

親は、その過程を「見守る」という体験を、するとよいと思います。子どものもつ成長する力、自分でできるようになる力を見せてもらうことで、親もまた、子どもを信じる意味を学んでいくことになります。