日本政府の見解や大臣の発言は、政府のホームページに掲載され、その多くが英訳もされている。しかし、そうした受け身の情報発信は、外国メディアにほとんど参照されていないという。つまり、もう1つの問題とは、日本の立場を世界に発信する力の弱さにある。

 捕鯨問題でもそうだったが、国際政治の舞台では、時に法的な妥当性よりも感情的な議論の方が勝ることがある。そこでの勝敗のポイントは声の大きさである。日本の主張の妥当性をあらゆる手段を講じて世界に伝えて納得してもらうといった、日本という国の広報戦略にもう少し真剣に取り組むべき時期がきているのではないだろうか。

経済の悪化を日本の経済報復の
せいにしかねない文政権

 前回の記事の繰り返しになるが、困るのは日韓の産業の現場にいる人たちであり、特に韓国企業にとってはより大きな打撃になる。しかし、現在の韓国政府にはまっとうな解決を図る能力がない、もしくはそもそも解決の意思がないのかもしれない。日韓で行われた事務レベルの状況説明会についても、事後には日韓で話がまるで食い違っているし、文在寅大統領は15日、今回の措置が韓国に対する一方的な制裁措置であるとして、日本に対してより強い口調で批判を繰り返した。

「制裁の枠内で、南北関係の発展や朝鮮半島の平和のために総力を傾けている韓国政府への重大な挑戦だ」として完全に話をすり替えている。気になるのは、日本の措置について「韓国経済が一段階高い成長を図ろうという時期に、韓国経済の成長を妨げるのも同然」(朝鮮日報7月16日)と述べた点だ。韓国の経済状況の悪化があたかも日本のせいであるように言うのは、日本に対してというより、来年総選挙を控えた韓国国内向けのメッセージと考える方が、辻褄が合うのではないか。

 さまざまな手段で日本と戦っている大統領を演じているという意味もあるが、より大きなポイントは、文在寅政権下での経済状況の悪化を、日本発の経済報復のせいと位置づけることで、全て日本のせいにしようとしているようにも見えることだ。文在寅政権での経済政策はポピュリズムに走り、理にかなってこなかった。財閥系大企業を庶民の敵とすることを公約としてきたため、韓国経済を支える大企業との関係は悪く、急激な最低賃金の引き上げによって、ただでさえ弱い韓国の中小企業は大きな打撃を受けた上に、失業率も上昇した。