(そうだわ、確かネットに、「指輪の切断は消防署でもやってくれます」って書いてあった。リングカッターっていう専用の機械があるのよね。あれ、どこの消防署にもあるのかしら)

 思い立ち、玄関前に立っていた隊員に声をかけると、「いいですよ。見てみましょう、どうぞ4階へ」と、署内に招き入れてくれた。

軽く流血しながら
指輪2本、撤去完了

 消防署初潜入。

 オレンジ色の制服を着た隊員が6人ほど、ぐるりと周りを取り囲み、話を聞いてくれる。

「なんかネットで糸を巻くっていう方法を試したんですけど、自分たちでは無理だったんです。もう痛いし、指は紫になるし」

 切々と話すと、正面にいたリーダーらしき隊員が言う。

「まずはその方法で試しますか?あとは切断ですね。元通りとまではなりませんが、宝飾店に行けば、またつないでもらうこともできますよ。大事な指輪ですからね」

「一応糸でやってみていただけますか?」

 優しい言葉に甘えてお願いし、それでもダメだった場合は切断希望、というわけで同意書に住所、氏名を書いた。指輪切断の同意書だ。

「痛いと思います。痛ければ言ってください」

 丁寧に慎重に、指に糸を巻き始める隊員、横でリラックスさせようと笑顔で話しかけてくれる隊員。ホスピタリティーにあふれている。