「ねんきん定期便」はアテにならない!?年金の実質受取額が減少していく理由
「ねんきん定期便」に掲載されている受け取り見込額より、将来の年金の実質受け取り額は減少する可能性がある。それを前提に老後設計をすべきだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

年金問題は今回の参議院選挙の争点の1つだ。マクロ経済スライドを適用して年金給付を抑制しない限り制度の維持は難しいが、そうした現実を踏まえた議論は進んでいない。年金給付抑制が進む以上、「ねんきん定期便」に掲載されている受け取り見込額より、将来の実質受け取り額は減少することを前提に老後設計をすべきである(ダイヤモンド編集部 編集委員 竹田孝洋)

「老後2000万円」問題で
一気に広まる年金不安

 年金問題が参院選の争点となったのは、言うまでもなく金融庁の報告書で、「老後の資金が2000万円不足する」とされたことを契機に、国民の間に老後への不安が広がり、老後資金や公的年金への関心が一気に高まったためだ。

 選挙戦も終盤にさしかかってきたが、年金については建設的な議論は何ひとつ行われていない。それは与野党ともに、現実を見据えることのない主張をしているからだ。その現実とは、現在の年金制度の存続、そして世代間格差を縮小させるには、将来の年金給付水準の抑制が不可欠ということだ。

 公的年金制度を存続させるために、平均寿命の伸び率や保険料を払う現役人口の減少率に比例して年金給付を抑制する、マクロ経済スライドという仕組みが導入されている。この仕組みによって、将来受け取る年金額は現在受け取っている年金額より実質ベースで見て目減りする。

 マクロ経済スライドは2004年の年金改革で導入された。その後、09年、14年と公的年金の財政再検証が行われたが、年金財政収支をシミュレーションする際の経済前提が楽観的なものであっても、マクロ経済スライドによる給付抑制を一定期間続けない限り、財政再検証時から100年後に給付額1年分の積立金を維持する(これが公的年金の「100年安心」の定義である)ことができないという結果になっている。14年の最も楽観的なケースで、2043年度までマクロ経済スライドを適用する前提になっている。