地政学に関わる出来事で誰もがパニックに陥っている時でも、市場の相場は高騰する。驚くべき富を生み出すこうした相互のつながりは、政治的危機に関しても同様に、世界のある地点から別のある地点への波及を可能にする。テクノロジーによって、地理的距離が意味を失う中で、デジタル化された新しい世界はますます小さく、狭くなり、不安が広がっている。20世紀半ばに、ハンガリー系米国人の数学者、ジョン・フォン・ノイマン氏は、地球の地理上の人口密度の低さは常に、軍事的、技術的進歩の制約要因になると主張した。しかし、フォン・ノイマン氏は、地理的制約が失われつつあることを懸念していた。人口が増加し、兵器とコンピューターソフトウエアによって地政学上の地図が凝縮される中で、地球の大きさの有限性が、不安定化をもたらすより大きな力になっていくと考えたのだ。イエール大学の政治科学者であるポール・ブラッケン氏は1999年の著書「ファイア・イン・ジ・イースト(Fire in the East)の中で「こうした変化は徐々に進むため、見過ごされがちだ」と記している。