NECは現行の通信規格である4Gでほとんど海外市場に参入できておらず、5Gでもまずは国内の通信キャリア向けが中心になる。

 同社の推計では5Gの基地局市場はピークを迎える25年で2500億円。この限られたパイを富士通やノキアといった競合と奪い合うことになる。

 しかも、競争激化により、基地局の単価下落は避けられそうもない。河村厚男常務は「基地局のハードウエアの売り上げは4Gより落ちると見込んでいる。(単価の下落を見据えて)効率化やコスト削減をやる」と厳しい認識を示す。

 NECはキャリア向けのハードの提供にとどまらず、電力会社や建設会社が自社内など閉じられた環境で使う5Gの通信環境とソリューションの提供を目論むが、「(サービス領域のビジネスモデルの事業規模が)まだ読み切れていない」(新野社長)のが現状だ。

 NECが5Gでブレークスルーを果たす可能性があるとすれば、楽天モバイルと共同開発する格安の通信インフラだ。これは中国の華為技術(ファーウェイ)など通信機器メーカーがキャリアに通信インフラを一括提供し囲い込むビジネスモデルとは異なり、複数のメーカーが相乗りでインフラを提供するオープン型の構想で、成功すれば新興国を中心に海外の5G市場への扉が開く可能性がある。

 楽天モバイルの躍進は、NECの最重要顧客であるNTTグループの逆鱗に触れかねないことを考えれば、この案件はNECがリスクを取ったチャレンジと言える。

 NECはここが勝負と見て技術者の給与上限を撤廃するなどして、技術者の年功序列的なヒエラルキー構造を破壊。人材確保に躍起になっている。

 グローバル企業との大一番に勝利して、かつての輝きを取り戻せるか――。

 それに失敗した姿は、実は足元の利益構造を見れば容易に推測できる。NECは18年度決算で5つある事業のうちパブリック事業(日本政府など国内の公共機関にITソリューションを提供)が利益の5割を占めている(全社消去前の営業利益ベース)。

 パブリック事業といえば、警察や消防、自衛隊向けのセキュリティー関連のウェートが大きい。国内事業依存がこれ以上深まれば、「治安維持や防衛という国家機密を握っているだけに潰せない企業」という烙印を押されることになるだろう。