今年のわが国の株主総会集中日は、6月28日(木)だった。全国で株主総会を開催した企業は、1051社。1990年以来では、昨年に次いで2番目に少なかったという。即ち、総会日の分散が進んでいるということらしい。
しかし、大手メディアが総会集中日を、「まるで当然のこと」のように取り扱う風潮には、強い違和感を禁じ得ない。
集中日イコール株主には
来てほしくないということではないか
かつてのわが国の株主総会では、総会屋と呼ばれる反社会的勢力が跳梁跋扈していた。そのため、株主総会集中日というアイディアがいわば必要悪として生み出されたと言われている。ところで、今年の総会集中日には、17社にのべ19人の総会屋が出席したと報道されている。もはや、総会屋は、わが国から、ほぼ根絶されつつある存在なのだ。
そうであれば、株主総会を集中させる意義は既に失われたはずだ。コーポレートガバナンスの頂点に位置する株主総会を実効ならしめるため、少しでも多くの株主に、株主総会に出席してもらいたいのであれば、企業は総会集中日を必死で避けようとするはずだ。
それでも東証によると、2012年3月期決算企業の集中率は、41.6%、700社以上に上るという。これでも調査が始まった1983年以降、過去2番目の低さだというが、株主によっては、4割超の企業が本音では「株主には総会に来てほしくない」と思っていると感じてしまうのではないか。
さらに、本気で多くの株主に来てもらいたいと思うのであれば、株主総会は週末に開催しようと考えるのが自然な流れだ。ところが、この6月に株主総会を週末に開催した企業は、東証公開情報によれば、864社中、わずか12社しかない。
また、株主総会で真っ当な議論を行おうと考えれば、企業情報の宝庫である有価証券報告書を株主総会前に開示することが非常に有益であると考えられる。ところが、株主総会前に有価証券報告書を開示した企業は、わずか20社しかない(週刊経営財務調べ)。