よくあるパターンとしては、それまでの起業準備に充ててきた費用を「損」と表現し、感覚的に「これまで10万円くらい損したからなぁ」と考えてしまい、「これ以上1円も損をしたくない」という思考に陥ってしまう人がいます。こうなってしまうと、成長のための次の投資について考えることができません。よほどラッキーでない限り、そこで終わりです。

 一方で、数字を管理できる人は、「これまでの出費を回収するためには、今後○年で○○個、○○○○円で売れればいい。そのためにはこの先、月間○○人の見込み客を体験会に招待し、そのうちの○%に当たる○○人に買ってもらえばいい。割引は○○○円までなら検討できる」など、ある程度、正確な目標を立てることができます。顧客1人を獲得するのに掛けられる費用を計算した上で、広告宣伝費の枠を決定するなど、次の成長に向けて進むことができるようになります。

 また、極端な例かもしれませんが、入ってきた売上と自分のプライベートなお金を混同してしまい、海外旅行などの遊びに使ってしまう人がいます。確かに、個人事業の場合には、売上でもらったお金も自分のお金も区別がありませんが、売上として得たお金から支払いをしなければならないこともあるでしょうし、前述のように、次の投資もしなければ事業は成長しません。

 そしてもちろん、残った利益からは税金を支払わなくてはいけません。数字をきちんと管理しておかないと、あとで困ってしまうのは自分なのです。

 こんなことを書くと、「数字に弱いから無理かもしれない……」と心配してしまう方もいるかもしれません。ですが、これらは、まだまだ先のステージでのお話です。とりあえず使ったお金をノートやエクセルなどに記録しておく領収書をもらっておく、そんなことから始めれば十分ですので、安心してください。