令和初、第101回目の夏の甲子園が8月6日から開催される。記念となる大会への出場を目指し、全国各地で地方大会の熱戦が繰り広げられているが、高校野球を巡る問題はいろいろとくすぶる。指導者による体罰は根絶できず、今春のセンバツに出場した2校が監督交代という事態になった。また新潟県高校野球連盟(高野連)の動きに端を発した投手の投球数制限の取り組みは、大改革に至っていない。一方、現場レベルでは、昔からの習慣だった丸刈りから脱しようとする新たな動きも出てきた。(ジャーナリスト 戸田一法)
センバツ直前の監督交代
今春のセンバツに出場した春日部共栄(埼玉)と松山聖陵(愛媛)の監督が、部員に対し暴力をふるっていたことが1月、相次いで明らかになった。
春日部共栄の本多利治監督は、昨年4月1日と3日に行われた練習試合で、見逃し三振をした当時2年生と3年生の部員3人の顔をビンタしたり、蹴ったりしていた。部員にけがはなかった。
本多監督は1980年の野球部創設時から指導するベテランで、学校の調査に「体罰と分かっていたが、中心になってほしい選手に気合を入れるためだった」などと事実関係を認めていた。
本多監督は日本学生野球協会から4ヵ月の謹慎処分を受け、監督は同校野球部出身でコーチや部長も務めた植竹幸一氏に一時交代した。
一方の松山聖陵の荷川取秀明監督は、部員に暴力をふるう映像が動画投稿サイトにアップされていた。
動画は昨年9月頃、野球部の寮で撮影されたとみられ、荷川取監督が1年生部員の顔を小突き、頭を壁に押しつける様子が写っていた。時間外の外出を繰り返していた部員の生活態度を注意していたとされる。