私は当初、ドナルド・トランプ米大統領が「国家主権(ソブリンティー)」というものについて頻繁に語る理由が分からなかった。その後、私の見方は変わった。正確に言えば、中国の習近平国家主席が私の考えを変えた。トランプ氏は、中国が支配する世界とわれわれの間に立ちはだかる唯一の存在だ。トランプ氏は2017年9月の国連総会で「さまざまな国々が同じ文化、伝統、さらには政治システムを共有することを期待してはいない」とした上で、「しかしわれわれは、全ての国が以下のような、主権国家としての2つの義務を支持することを強く期待する。それは、自国民の利益を尊重し、他のすべての主権国家の権利を尊重することだ」と語った。トランプ氏はこの演説の中で、21回も「ソブリンティー」という言葉を使った。それはなぜだろう。米国が世界の200近い主権国家の1つであることは、誰もが知っている。主権国家の概念は、300年以上にわたり、しっかり確立されてきた。トランプ氏がソブリンティーの重要性を訴える必要はないように思われた。
【寄稿】トランプ氏を見る目、習氏が変えた
米大統領は「中華秩序」から米国だけでなく国際システムも守ろうとしている
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