こうした技術革新、手作りへのこだわり、デザイン性、エシカル性が、昨年フランスのベタンクール・シュエーラー財団から認められ、権威ある賞と支援金を得たという。

 筆者は音について素人だが、ワクワクする話だ。早速この変な起業家たちに会いに行った。

絶景アパルトマン発スタートアップ

ベタンクール財団の賞を得た作品 拡大画像表示

 彼らの仕事場は、パリの中心部(といっても下町で観光客は少ない)にあるジェロームの住居だ。中に入ると、そこはフランス映画に出てくるような典型的なパリの古めかしいアパルトマンの最上階。100平米はありそうなリビングには、縦長で大きなアート作品(確かにスピーカーには見えない)が数点と、作業道具、木や金属の材料、生活臭のする家具等が所狭しと並んでいる。

 そこで6人のメンバーが迎えてくれた。中心メンバーのジェロームとジョーンズ、それに財務担当、マーケティング担当、家事担当と今回彼らと結び付けてくれた変な友人だ。全員に挨拶し終わると、天気がいいから上で話をしようというということになった。

 上というのは屋上、ルーフトップのことだ。専用の螺旋階段で上がるとそこはまさにフランス映画『アメリ』の世界だった。見渡す限り拡がるパリのアパルトマンの屋根群、画家の街モンマルトルの丘、ナポレオンが眠るアンバリッド、そしてエッフェル塔等が見渡せる贅沢な屋上だ。最高の音創りもいいが、観光客に開放し、カフェ1杯1000円、ビール1杯2000円、高級シャンペーン1杯3000円とってラウンジでもやれば儲かるに違いない。

 さて、この規格外の職場ともいえる絶景ルーフトップで、1000円払ってもよさそうなカフェ(日本製アルコールランプ式のコーヒーメーカーでいれていた)をただ飲みしながらインタビューに入った。

 ここで、その内容をお伝えしたいところだが、その前に、筆者が彼らをなぜ規格外扱いするのか?2つの理由を示しておきたい。