買い物と借金を繰り返し
地元にいられなくなった

 清美さんがスナックでバイトしていたのは本当だった。

 当時の人気女優に似た美しい顔立ちと、陰のある大人っぽい雰囲気が受けて、店には彼女目当ての客が集まった。バイト代もちゃんともらっていた。しかし、手にしたお金は化粧品や洋服代であっという間に使ってしまうため、清美さんはいつもお金に困っていた。

 所有欲ではなく、買い物欲だった。

 とにかく買いたい。店に入ると、抑えがたい衝動に支配され、品物を手に取ってしまう。「お客様、その服すてきですよね、私も色違いを買ったんですよ」「それ、お客様みたいなスタイルのいい方にぜひ着ていただきたいです。お似合いですよ」など、店員にちやほやされるのもたまらなく心地いい。夢中で購入し、お金を支払い、店を出る。

 だが家に帰り、服を着て、鏡の前でポーズを取る頃には、買い物中の高揚感はすっかり消失し、凄まじい罪悪感に襲われる。

(また買っちゃった。どうすんのよこの服、似たようなの持ってるし。今月のお金、全部使っちゃった。馬鹿だ私)

 後悔するも、買い物への欲求は止まらない。誰彼構わず借金を申し込み、買い物し、返さずに逃げ回っていたが、そのうち街にいられなくなり上京。私鉄沿線の小さなキャバクラで働いていたところ、客として訪れた洋治さん(仮名・38歳)に見初められて結婚した。