ドイツ南部の「黒い森」にほど近い都市で、欧州の経済危機対応を批判する人々が最後の抵抗を試みている。18世紀に建造された宮廷に集まった弁護士たちが約2000人の原告を代表し、7月30日と31日の両日にわたり、4年半前に欧州中央銀行(ECB)が導入した大規模な債券購入プログラムへの批判を展開した。ドイツ連邦憲法裁判所では、ユーロ圏の結束と経済成長を維持するECBの権力と戦術を標的に、相次ぎ訴訟が提起されてきた。裁判所で今回見られた光景はその新たな一幕にすぎない。だが同時に、ECBとドイツの間に横たわる根深い不信感を浮き彫りにするものでもある。ECBが直近の緩和措置に踏み切ったのは、ドイツ自身の経済が軟化したことも一因だった。貿易を巡る国際的な緊張の高まりや英国の欧州連合(EU)離脱といった逆風にさらされ、ドイツの景気はここ1年ほど停滞している。だが、ECBは行動すべき緊急性があると判断している一方、ドイツ人の多くは依然として中銀による刺激策に懐疑的だ。ビジネスサイクルを滑らかにする上で不要なもので、恐らく逆効果になるとみなしているためだ。