緩和競争になるのか
円高になれば日銀は対応迫られる

 となれば、米国も非伝統的政策に戻る可能性があるのかどうか。それが新たな緩和競争を生み、日本にも何らかの影響が及ぶのかどうか。

今回のFOMCのメッセージからそれを予想するのは難しい。しかし昨年来、FRBは緩和政策を長く続けてもインフレ率が思ったほど上がってこなかったとの問題意識から議論を続けてきており、論点なども公表している。

 その中で、かつて行った量的緩和策についても評価がなされているが、インフレ期待を醸成する効果については思ったほど機能していない、というのがこれまでのFRBの評価だ。

 FRBは現在、物価目標の運営方針についても、市場や企業、家計のインフレ期待をより高めるために、なんらかの調整を加える是非を議論している。公表されてきた情報によると、それは2%の物価目標について、ある一定期間を対象に、それまで2%に満たなかった下振れ分について、物価が2%目標より上振れした際に、その分は許容するといった内容となりそうだ。

 たとえば、ある一定期間、物価が1%程度で推移する期間があれば、将来、物価が3%近くまで上昇しても許容するといった考え方のようだ。

 どれだけの期間を評価対象とするのか、どれだけの物価の上振れを許容するか、といった具体的な内容は公表されていない。しかし、中央銀行にとってはデフレも怖ければインフレも怖いわけで、相当に幅をもった柔軟な運営が検討されているのではないかと思われる。

 こうした制度の調整も含めてFRBがさらなる利下げを考えていると市場がFRBの本気度を確信すれば、緩和の流れは一気に加速する可能性がある。そうなれば、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行が追随する形で、緩和強化を迫られる流れになり得る。

 特に日銀は、FRBやECBの緩和が円高となって跳ね返ってくると、対応せざるを得ないだろう。

(三井住友銀行 ニューヨーク駐在 チーフ・エコノミスト 西岡純子)