連邦準備制度理事会(FRB)は利下げし、理由を説明した。ここで大きな疑問は、それらの理由が通じるかどうかだ。FRB当局者が盛んに利下げのシグナルを発していたため、7月31日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の25ベーシスポイント(bp)引き下げが決まったことにほとんど衝撃はなかった。しかし、わずか半年ほど前に利上げしたことを踏まえれば、FRBの政策シフトは理解しがたい。失業率が約50年ぶりの低水準にあり、株価が過去最高に近いとあればなおさらだ。だがFRBは、世界成長の鈍化や貿易摩擦が米企業の設備投資に影を落としており、他分野に波及するリスクがあると懸念している。声明では、利下げを決めた一因として控えめなインフレ圧力も挙げた。インフレ率がFRBの目標である2%を割り込む期間が長引けば長引くほど、低すぎるインフレ率が消費者の予想に定着するとの懸念に応えた形だ。