米ドル/円は一時、91円を超えるまで米ドル高・円安が進みました。

 足元の米ドル高・円安をもたらし、さらに、今後の米ドル/円の行方を考える上で、米国の金利動向がカギを握っていると私は見ています。

 私は、前回および前々回のコラムで、米ドル/円の短期大相場は10円程度が1つの目安だから、8月から続いた円高が「タイムオーバー」となり、いったん円安に戻る可能性があるとの見方を示しました(「投機筋は円高戦略を簡単に放棄しない!短期円高『時間切れ』後のシナリオとは?」 「カギは93円にあり!ドル安・円高再開の『判定方法』とは?」参照)。

 さらに、もう1つ、円高がこのまま続かず、いったん円安に戻す可能性があると考えた理由があります。それこそが、米国の金利でした(「急浮上した『中国ショック』はドル高要因か? ドル安要因か?」参照)。

 これまでも何度か紹介してきましたが、米ドル/円と米国の長期金利の相関性は、極めて高いものがあります。

 その意味では、この数ヵ月間は米国の長期金利低下が続いてきたから、米ドル安・円高になったとも言えるでしょう。

 ただ、これまで続いていた米国の長期金利低下は、目先で限界に達した可能性が高いと私は見ていました。そうであれば、相関性の高い米ドル/円も、米ドル安・円高が一服して、米ドル高・円安にいったん戻ることになります。

90日移動平均線からの
かい離率を見る「3大ルール」

 私は、短期相場の行き過ぎを、90日移動平均線からのかい離率でチェックすることを基本としています。

10年米国債の90日線からのかい離率

 米国の長期金利(10年米国債の利回り)について、90日移動平均線からのかい離率を見ると、10月に入って一時はマイナス10%まで拡大していました。経験的に、これは短期下がり過ぎを示すものです。

 90日移動平均線からのかい離率を見る際には、以下の「3大ルール」を抑えておけば大丈夫だと思います。

(1)かい離率が±10%を超えると行き過ぎ
(2)行き過ぎの修正は、90日移動平均線を逆に振れるまで続く。つまり「振り子の論理」
(3)短期の行き過ぎは、中長期トレンドと逆行しないのが原則

 前述したように、今月に入って、米国の長期金利のかい離率はマイナス10%まで拡大していました。これを「3大ルール」で考えれば、「下がり過ぎ」の懸念があったと言えるでしょう。

 問題は、(3)のルールとの関係です。

 もし、中長期下落トレンドの中なら、短期下がり過ぎでも、特別におかしいものではありません。しかし、中長期上昇トレンドならば、話は違ってきます。

 米国の長期金利は、2008年の年末から、2009年の初めにかけて、2%割れ目前まで低下し、その後は急反発に転じています。

10年米国債と90日移動平均線

 こういった動きから、中長期的には底を打ち、上昇トレンドに転換した可能性が高いと考えられます。

 これは、どういうことを意味しているのでしょうか?

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