本社を税率の低い国に移転する「インバージョン」が反転し始めた。米後発薬大手マイランは2015年に登記上の本社をオランダに移し、インバージョンの波に加わった。だが、今週発表された米ファイザーの一部事業との統合を通じて本社が米国に戻る。17年に成立した税法によってインバージョンの魅力が薄れた証拠だ。1カ月前には、やはりインバージョンで本社をダブリンに移していた製薬会社のアラガンが、米国に本社を置く同業アッヴィによる買収で合意したと発表した。あらゆる要素を考慮すると、米国外に本社を置く方が税制面で依然やや優位だと、税務法律家やアナリストらは話す。だが17年の税法を受けて米国の法人税が低下した後は、そうした差は小さく、評判の低下や政治的なコストに見合わないとも考えられる。