
私たちが食べるうなぎはどこから来るのでしょうか?日本国内の天然うなぎと養殖うなぎの4大産地を紹介しながら、うなぎが天然から養殖へ変遷した経緯を、歴史と地理で解説します。
※本稿は、高城 久『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
うな重のうなぎはどこから来るのか
ニホンウナギがレッドリスト入りし、うなぎ資源の不足が叫ばれる現状は、皆様も小耳に挟んだことがあるかと思います。では、我々が今、うなぎ専門店や家庭でいただくうなぎは一体どこから来ているのでしょう?
うなぎがどこから来るのか語る上で、まず知っていただきたいのが、次の5つです。
(1)うなぎには「天然うなぎ」と「養殖うなぎ」がある
(2)天然うなぎとは川や湖で捕れるうなぎ、養殖うなぎとは養鰻場で育てたうなぎのこと
(3)天然うなぎは、昔はいっぱい捕れたけれど、今は昔のようには捕れない
(4)我々が現在食べているうなぎは、99%が養殖うなぎといわれている
(5)天然うなぎと養殖うなぎの産地は異なる
何事もそうであるように、物事を知るためには「歴史」と「地理」を押さえなければなりません。天然から養殖への変遷の歴史について、お話したいと思います。
そんなわけで、天然うなぎの産地と養殖うなぎの産地を、地図にまとめました。

天然うなぎの北限はずっと青森県の小川原湖と言われてきましたが、2022年に、北海道でも天然うなぎが捕れたという驚きのニュースがありました。環境の変化による生態系の変化を示すわかりやすい例でしょう。
一方、養殖うなぎの産地を生産量の多い順に紹介すると次のとおり。
(1)鹿児島県 全体の約40%
(2)愛知県 全体の約30%
(3)宮崎県 全体の約20%
(4)静岡県 全体の約10%
この上位4県で全国の生産量の90%以上を占めています。