それに対して、れいわは、左派としての立場ながら、野党勢力とは距離を置いた路線を進もうとしているように見える。

「消費税ゼロ」「奨学金チャラ」「最低賃金1500円の政府保証」「公務員増加」「デフレ脱却給付金の一律給付」「食料自給率100%を目指しての一次産業への個別所得補償」など、共産党でさえ言い出せないような大胆な再分配・積極財政政策を打ち出している。

 平和憲法の下での社会主義体制の実現を最終目的に掲げ、あらゆる政策で自民党と対決してきた、「55年体制左翼」の硬直化したイメージとは一線を画し、福祉と積極財政による経済成長を両立させるというポジティブな左派として自らを演出しているようだ。

 れいわに左派寄りの無党派層の票を奪われたとされる立憲民主党は、消費増税については凍結すべきとの主張だが、10%への増税の方針を決めたのが、前身の民主党政権時代であり、将来的にどうするかは示していない。

 同じく旧民主党系の国民民主党も凍結の方針を示したうえで、不況時には減税も経済政策の選択肢の1つだとしているが、どういう状況になったとき、どれだけ減税して、どれくらいの効果が見込めるのか具体的なことは言っていない。

 両党とも、持続可能な成長のための戦略を掲げながら、一方で税制の見直しによって財政健全化への道筋を付けることを基本政策に掲げている。そのため消費税を今後、どうするかを、簡単に答えることができず、政策の重点がはっきりしない。

 共産党は消費税を3%まで下げることを可能としているが、その前提として、共産党の伝統的な主張である軍事費大幅削減と、大企業、高所得者への増税に加えて、公共事業の段階的半減を掲げている。

 しかし、この政策は、「コンクリートも人も~本当の国土強靭化、ニューデイールを~」という標語のもと、公共事業拡大の方向を示唆する、れいわの政策とは対立する。

 安全保障政策でも、れいわと野党との溝は深い。

 れいわは、米軍基地の辺野古移転には明確に反対しているが、その一方で、これまでと同額の費用負担の継続を前提に、対等な同盟関係を目指して、移転先について再交渉するとしている。

 経済的・社会的弱者に徹底的に寄りそう姿勢を見せながら、戦後日本の左派に共通だった日米安保と資本主義に敵対するトーンを緩め、イデオロギー的硬直性を感じさせにくくしている点では、野党の中でも共産党や社民党にとっても強力なライバルにもなり得る。