メルカリ山田進太郎会長メルカリの山田進太郎会長兼CEOは2020年6月期を「勝負の年」と強調した Photo by Hiroyuki Oya

フリーマーケットアプリ大手のメルカリに黄信号が灯った。国内メルカリ事業の流通総額が、サービス開始6年目にして四半期ベースで初の減少に転じたのだ。国内で稼ぎつつ、米国やキャッシュレスサービスに投資するというシナリオの前提が狂いかねない事態に陥っている。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

米国とメルペイの赤字は200億円以上

 赤字の理由は米国事業とキャッシュレスサービス「メルペイ」への投資を先行しているため。国内事業は好調で、投資に成功すればさらなる飛躍が見込める――。そんなメルカリの描くシナリオの前提が崩れつつある。

 8月8日に発表された、フリーマーケットアプリ大手メルカリの19年6月期決算。売上高は前年比44.5%増の516億円。純損失は137億円で、前期の70億円から拡大した。

 7年連続で最終赤字を計上し、赤字幅が拡大すること自体は、7月25日に発表した下方修正で織り込み済みだ。決算発表で注目が集まったのは、その中身だった。

 国内メルカリ事業の売上高は前年比38%増の462億円で、営業利益は同28%増の94億円。連結の営業赤字は121億円なので、米国事業とメルペイで200億円以上の赤字を垂れ流したことになる。

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 ただその一方で、米国事業の流通総額が前年比で70%増加したことや、メルペイが200万人のユーザーを獲得したことをアピール。山田進太郎会長兼CEO(最高経営責任者)は、「短期的な収益ではなく、グロース(成長)優先の投資を続け、世界中で使われるサービスを目指す」と従来通りの方針を強調した。

 国内事業は好調で、投資先行による赤字は想定内だと主張したいのだろう。ところが、好調に見える国内メルカリ事業の先行きに、不安を感じさせる数字が決算で開示された。