債券市場は「この先に困難が待ち受けている」と大文字で書かれた巨大サインを掲げて警告を発している。投資家は警戒感から神経をとがらせている。次に市場が大荒れとなる事態はそう遠くはないかもしれないが、これに備えることは難しい。5日の金融市場のパニックでは、いつもなら安全と見なされる資産からの逃避が目についた。中国を起因とする売りは通常の市場の動揺とは異なるようで、ドルは投資家の懸念から逃れることはできなかった。強力なバランスシートを持つ優良銘柄も、見通しの悪化に伴い市場から罰せられた。円、スイスフラン、金の「安全資産トリオ」については、いずれも大きく値上がりしており、従来のパターンが通用したようだ。金は5月初旬から17%上昇。国債も極めて良好なパフォーマンスとなっており、30年物の米国債、40年物の日本国債はドル建て換算で同期間に金の値上がり率に肩を並べたほか、オーストリアの100年物国債は47%と、突出したリターンを記録した。