仕事がないなら、つくればいい!
働き方改革、副業解禁。好きなことを仕事にするとは聞くけれど、自分には無理と決めつけていませんか? 著者もかつては「好きなことを仕事に」とは思えなかった、ふつうの人でした。経歴なし、留学なし、壮絶経験なし。流されて就職するもたった2ヵ月でギブアップ。そんなふつうの人が、どのように好きなボードゲームを突き詰め、強みを仕事に変え、好きなことで「食える」ようになったのか……。
この連載では、『戦略と情熱で仕事をつくるーー自分の強みを見つけて自由に生きる技術』から一部を編集してご紹介します。
人と比べられてる時点で「負け」、そう思って生きてきた
ボードゲームソムリエ、ボードゲームデザイナー。世界のボードゲームのプロフェッショナル
1990年生まれ。公務員の家庭に生まれ、6歳で『人生ゲーム®』に出会い、1人でマス目をひたすら読んで遊ぶほど没頭する。中学生の時に、『カルカソンヌ』という世界で一番権威のある賞を受賞したボードゲームの面白さにハマり、以後、青春すべてをボードゲームに注ぎ込むようになる。大学3年生の時に、ドイツで開催される世界最大のボードゲームの祭典に参加し、初海外の体験で文化の違いを知り、衝撃を受ける。帰国後、ボードゲームの魅力を提供する「ボードゲームソムリエ」として活動を開始。様々なコミュニティに赴き、累計5000人以上にボードゲームを感動サプライズとして提供するエンターテイナーとして活躍。活動を通して、多くの人に出会い、その縁で『7つの習慣®』のボードゲーム制作をオファーされ、デザイナーデビュー。『7つの習慣®』のボードゲームは、クラウドファンディング「Makuake」において、日本で行われたボードゲームのクラウドファンディングプロジェクトで史上初の1000万円を突破し、話題になった。また2年後に制作した『7つの習慣®』ボードゲームの2作目『7の秘宝』もクラウドファンディングにおいて1000万円を突破し、史上2作目の快挙となる(この2作以外で、日本において、1000万円を突破したボードゲームは存在しない)。その後、大手企業のボードゲームから、人気漫画『キングダム』のボードゲームまで、さまざまなボードゲーム開発や監修の依頼を受けるだけでなく、『マツコの知らない世界』をはじめとするメディア活動にて、ボードゲームの魅力の発信や自分の大好きなことで生きることをテーマとした講演も行っている。また企業のボードゲームの研修コンサルティング、東京大学にてボードゲームの特別講師として登壇するなど、エンターテインメント以外の分野での活動も行う。
(撮影:森川亮太 撮影協力:渋谷ロフト)
前回は、情熱を持った圧倒的な行動からチャンスが生まれるという、僕の信念をご紹介しました。
僕は、「ボードゲームソムリエ」という、今までの世の中にない職業を生み出してきました。この「誰もやってないこと」は、リスクなのでしょうか。
ここまで強みを見つけるための方法を書いてきましたが、それでも強みが分からない、見つからないと感じる人はいると思います。そんな人は強みをつくってしまえばいい。僕も強みに気づき、そしてつくった人間です。まだ世の中で表面化されていない、言語化されていない強みがあるはずです。そして、それを生かして世の中にない仕事をあなたが最初につくればいい。
「誰もやってない」ことは、恐れや不安が大きいかもしれません。でもそれは、裏を返せば競争相手がいない最高の環境です。先行者となって圧倒的に優位な立場を獲得することができます。この連載の第6回でもお伝えしたように、そこは「ブラックオーシャン」。何の競争も駆け引きもいらないフィールドです。
スポーツやアーティストなど、すでに競争の激しい世界に身を投じれば、才能や努力が求められる厳しい競争の世界です。しかし、自分だけの得意な世界をつくってしまえば、必然的にオンリーワンになることができます。
この仕事を始める前、当時は、僕よりもボードゲームのことを知っている人は多くいましたし、僕よりもボードゲーマーとして強い人もたくさんいました。
でもボードゲームを紹介したり、ボードゲームを多くの人に知ってもらおうと公言して実際に行動している人がいない。ボードゲームのマニアに向けてボードゲームを語る人は多くいるけど、一般の人に向けて、ボードゲームを説明する人はいない。ボードゲームソムリエという肩書きを、検索しても誰も名乗っていませんでした。
つまり、戦う相手は誰もいなかったのです。
僕は、ある意味負けず嫌いですが、人と争って勝とうとする負けず嫌いではありません。
人と比べられた時点で「負け」。そう思ってきました。誰とも争わない場所を探して、そこにたどり着く。そうすれば争わずに一番になれる。
それは、まったく新しい強みかもしれないし、強みの掛け算でたどり着くことができることかもしれません。これが僕なりの戦略なのです。