仕事がないなら、つくればいい!
働き方改革、副業解禁。好きなことを仕事にするとは聞くけれど、自分には無理と決めつけていませんか? 著者もかつては「好きなことを仕事に」とは思えなかった、ふつうの人でした。経歴なし、留学なし、壮絶経験なし。流されて就職するもたった2ヵ月でギブアップ。そんなふつうの人が、どのように好きなボードゲームを突き詰め、強みを仕事に変え、好きなことで「食える」ようになったのか……。
この連載では、『戦略と情熱で仕事をつくるーー自分の強みを見つけて自由に生きる技術』から一部を編集してご紹介します。
『コロコロコミック』の
たった2ページで人生が変わった!
僕は今「ボードゲームソムリエ」という自分で作った肩書きで活動しています。
ボードゲームとは人生ゲームのようなアナログなゲームのこと。何千、何万あるゲームの中から、その時に合ったおすすめのゲームをメディアで紹介したり、イベントでその会の趣旨に合ったボードゲームをおすすめしたり、またボードゲーム制作も手掛けています。
そもそも、僕がボードゲームにのめり込むようになったきっかけは、中学1年生の時に祖父に初めて買ってもらった『コロコロコミック』でした。
今にして思えば、それが人生の変わった転機でした。中学生のときは、毎月決まったおこづかいをもらえる家ではなかったため、月刊の『コロコロコミック』は買うことができません。ですから、買ってもらったことが嬉しくて、その『コロコロコミック』を1ページ1ページ、丁寧に読んでいったところ、ひときわ興味を引いたページがありました。
たった2ページの特集でしたが、そこに見たこともないボードゲームの紹介が載っていたのです。
それは、現在でも東京の水道橋にある『メビウスゲームズ』というボードゲームショップが、当時流行っていた海外のボードゲームを紹介するという内容でした。この特集に出会う前の僕は人生ゲームは大好きでしたが、それ以外はあまり知りませんでした。
そしていくつか紹介されている中で、僕は『カルカソンヌ』というボードゲームに目を奪われました。『カルカソンヌ』はボードゲームの本場、ドイツで2000年に発売され、数々の賞を取っているものです。とても緻密で綺麗なイラストを使用したゲームで、僕が今まで見てきた日本のゲームとは、まったく違っていました。
ゲームの内容は、プレイヤーがそれぞれ道をつなげ、陣地を広げ、古代ローマ時代の城塞都市=カルカソンヌを築いていくものです。
普通、ボードゲームは、決まった形のボードがあるものですが、このゲームは進めるにつれて、陣地が広がる、つまりボードが大きくなっていき、どんどん景色が変わっていくのです。自らの手で美しい都市を作っていくという感覚が非常に新しく感じられて、まさに衝撃でした。
両親は、僕の目が悪くなることを心配してテレビゲームや携帯ゲームは制限していましたが、ボードゲームに関しては寛容でした。たぶん、テレビゲームよりは教育上良さそうと感じていたのだと思います。
僕はこのゲームが届いた瞬間から夢中になって、学校から帰って来たらすぐに、そして休みの日は何度も繰り返しやっていました。そしてこのゲームがきっかけで、どんどんボードゲームにのめり込んでいくことになるのです。
ボードゲームにハマったことで、それが僕の「強み」となって、さらにそれが仕事になるなんて、そのときはまったく想像もしていませんでした。