世界中の政府や企業は、巨大IT企業の規制に躍起となっている。対GAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとったもの)とも見える独禁法の整備、情報銀行によるデータ囲い込み対策が進む。加えて、信用スコアやQRコード決済(キャッシュレス決済)では、BAT(同前Baidu、Alibaba、Tencent)に後れを取るなと言わんばかりに金融からリテールまでがサービスを濫立させている。
米中の巨大IT企業を模倣するかのような、日本における官民入り乱れた施策には疑問点も多い。データ経済、キャッシュレスは重要トレンドというのはわかるが、必要なのは柔軟性だ。型通りの模倣や規制は、巨大IT企業たちの指針とは真逆であることに早く気付くべきだ。
「Yahoo!スコア」が躓いた理由
2019年6月、ヤフーがYahoo! IDと紐づけた「Yahoo!スコア」を開始すると発表した。
この直後にセキュリティの専門家から「スコアのためのデータ収集が自動的に行われ、契約企業に利用されるのでは?」と指摘があった。そしてサイト上でも、スコアリングを拒否する設定がわかりにくく、簡単にスコアデータの収集を停められない状態だった。すぐさまヤフーは状況の説明と、利用拒否手順のリンクをわかりやすくする変更を行った。