ビジネスパーソンにとって朝は1分でも貴重で、朝食を食べない人も多いだろう。あるいは多忙なあまり、ランチや夕食を数分で済ませ、「早食いも芸のうち」と悦に浸っている人もいるのではないか。しかし、世界中の実験で、朝食を抜くと太りやすく、糖尿病にかかりやすく、動脈硬化が進んで老化を進めることが判明している。逆にゆっくり食べることで血糖値の上昇を抑えられることもわかった。今回は『医者が教える食事術2 実践バイブル』の中から、健康的な食事の回数や時間について紹介する。
「朝食抜き」はすぐにやめるべき理由
前回(第8回)、糖質の摂り過ぎに注意してほしいことから、白米をたっぷり食べるホテルの朝食が決して健康食ではないことを例として挙げました。
ここで勘違いしてほしくないことがあります。それは、だからといって朝食は抜かないことです。早とちりして、「朝食は食べないほうがいい」だなんて勘違いしないでください。
2014年に日本で、健常者を対象に、朝食を食べた場合と抜いた場合の平均血糖値を比較する実験が行われました。実験には、「24時間持続血糖測定器」が用いられ、その平均を調べるというものです(*1)。
結果は、朝食を食べた場合の平均血糖値は83、抜くと89に上がりました。平均血糖値が高くなるということは、それだけ糖尿病に近づき、また全身の老化も進めているということです。
さらに、2017年にはドイツで、健康な人健常者17人を対象に、朝食を抜くと体にどういう影響を与えるかについての研究が行われ、以下のことがわかっています(*2)。
1 昼と夜の血糖値が上がり、インスリン値が上がる
2 昼の血糖値が大幅に(46%も)上がる
3 1日の平均血糖値が上がる
4 体の炎症、動脈硬化が進む
これらの結果が示しているのは、朝食を抜くと太りやすく、糖尿病にかかりやすく、動脈硬化が進んで老けるということです。ほかにも、2015年にはイスラエルでも同様の報告がなされています。(*3)
血糖値は、できるだけ安定しているのが理想です。しかし、1食抜けば、空腹でかなりの低血糖状態になり、そこでドカ食いして今度は血糖値を急上昇させることになります。つまりは、血糖値を急上昇させてしまう「血糖値スパイク」を起こしてしまいます。
1日に同じ量の食事をするなら、回数を多く分けて食べたほうが血糖値は安定します。「夕食でガッツリ食べるので、朝食は食べない」といった習慣は、今すぐやめましょう。