「新しい時代の生存戦略」をテーマとした『ニュータイプの時代』。その第7章で述べられている、「ニュータイプの学習力」について、教育領域の第一人者である藤原和博氏はどう受け止めたのか。藤原氏は、これからの時代に必要となるのは「情報編集力」だと提唱し、「本を乱読し、とにかく遊べ」と語る藤原氏に、新時代を生き抜くための学び方を訊いた。(取材・構成/モメンタム・ホース 水落絵理香、編集/同 小池真幸)

これからを生き抜くヒントは
「遊び」に隠されている

『ニュータイプの時代』では、常識を疑い、良質な問いを生み出す力を得るために、リベラルアーツ、つまり教養を身につけるべきだと説かれています。

藤原和博(ふじはら・かずひろ)/教育改革実践家。元リクルート社フェロー。1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。08~11年、橋下大阪府知事の特別顧問。14年から佐賀県武雄市特別顧問。16〜18年、奈良市立一条高等学校校長。著書は『僕たちは14歳までに何を学んだか?』(SB新書)など81冊累積146万部、講演回数が今秋1500回を超える超人気講師。詳しくは「よのなかnet(https://www.yononaka.net)」に。

 これは、僕が提唱する「情報編集力」と重なる部分が多々あると思います。

 情報編集力とは、問いを生み出し、自分が持つ情報をつなげて「納得解」を導き出す力のこと。絶対解のない問いに対し、腹落ちできる「とりあえず」の答えを出せるかどうか。

 問いを立て、納得解を出すために様々な要素をつなぎ合わせて無限の修正を行っていく。

 こうした情報編集は、根底に「遊び」心を持っていないと行えません。『ニュータイプの時代』でも指摘されているように、まずやってみて、うまくいかなければどんどん修正していく。

 これは、実は誰もが子供時代の外遊びで経験していることでもあります。

 外で遊んでいると、予測不能なことがたくさん起こりますよね。急に雨が降ってきたり、同年代だけで遊ぶと思っていたら、小さい子が混じっていたり。

 そんな時、子供たちは遊び方を変えて対処します。

 雨が降ってきたら屋根のある場所に移動するし、小さい子がいたら誰もが平等に遊べるようなルールを作る。次々と起こる問題に対し、「どうすれば楽しくなるのか」を無意識に考えるんです。

「予測不能な出来事が次々に起こる」という意味で、現代は遊びの時代になりつつあります。そんな時代を生き抜いていくためには、直感的にアイデアを試して、ダメなら次の手を考える。すなわち情報編集力が必要とされるわけです。

ジャンルは何でもいい
遊ぶために本を読むべし

「遊び」を実践するためには、引き出しが必要です。つなぎ合わせる情報を持ち合わせていなければ、「編集」はできません。

 情報を得たいなら、読書がベストです。

 今の日本人は本を読まない傾向にあります。文科省が学生を対象に行った「第四次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」では、「月に1冊も本を読まない」と回答した高校生が約50%にものぼっています。

 社会人も同じです。楽天ブックスが社会人700名を対象に行なった「上司と部下の読書事情に関する調査」では、約60%が「月の読書量が1冊未満」と答えています。

 正直に言えば、年間100冊は読んでほしいところですが、まずは月1冊を目標にしてみてください。そこから自分のペースをつかんで少しずつ増やしていけばいい。

 読書のコツとしてひとつ覚えておくといいのが、「最初の50ページを読んでつまらないと感じたら、読むのをやめる」こと。出版社の編集者と話をしていると、一様に「最も面白い部分を最初に持ってくる」と言うからです。

 また、「つなげる力を磨く」という意味では、読むジャンルは雑多であればあるほどいい。何の関係もなさそうな事象ほど、「編集」でつなげられると価値が大きくなるからです。