AIの台頭や一層のグローバル化、就活の地殻変動などの影響で到来する「仕事が消滅する時代」。本連載では、藤原和博氏の著書『10年後、君に仕事はあるのか?』の内容をもとに、「高校生に語りかける形式」で未来を生き抜くための力を身につける方法などをお伝えしていく。

「オリンピックのメダリスト級」を目指そう

 どうやって自分自身を希少性のあるレアな存在に持っていくか?

 はじめに結論を言います。

 3つのキャリアを5年から10年ずつ経験して、その掛け算で希少性を獲得し、100万人に1人の存在になりましょう。

 100万人に1人はオリンピックのメダリスト級のレアさだし、同世代でたった1人の存在になるから、「雇われる力」が飛躍的に高まり、必ず稼げる大人になれます。

 まず、ある分野で集中して仕事をして、100人に1人の希少性を確保しましょう。

 次に、違う分野で仕事をして100人に1人の希少性を確保できれば、もう掛け算すれば1万人に1人の希少性を確保できたことになります。

 大ざっぱなイメージとしては、20代で100人に1人に、30代でもう100人に1人を達成して、1万人に1人にというペースです。

 ここまできたら、あと1つの分野で仕事をして100人に1人の希少性を達成すれば、100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1の希少性が実現します。

 これはもう、オリンピックのメダリスト級のレアさになります(実際、1人のアスリートが一般的には3大会に出場可能として、3大会のメダルの総数を全就業者数で割ってみると、その確率が100万分の1に近くなります)。

 オリンピックのメダリストではなく、「オリンピックのメダリスト級」というところがミソなんです。

 アスリートの世界では、世界中に100万人いる競技者のトップに立たなければなりません。100万人のピラミッドの頂上に立つためには、銅メダルでも99万9997人に勝たなければならない。

 でも、100人に1人の掛け算を3回繰り返してなるオリンピックのメダリスト級の100万分の1は違います。縦社会のトップを争うのではなく、平面上で独自のポジショニングをすればいいのです。

 だから、君にも100万分の1の希少性ある人材、すなわち「オリンピックのメダリスト級」の存在を目指してほしいと思っています。

 最後までやり遂げれば、突出した才能のない普通の人にも、必ず達成できますから。また、3つの仕事をマスターするのに、どれくらいその仕事に就けばいいかも、あらかじめ示しておきますね。

 1つの仕事をマスターするのに、人間は一般的に1万時間かかると言われています。

 その根拠はマルコム・グラッドウェル著『天才! 成功する人々の法則』(講談社)などの本に譲りますが、どの国でも義務教育がだいたい10年、1万時間であることからも論証されるように思います。

 逆に言えば、1万時間取り組めば誰でもその仕事をマスターできるから、その分野で100人に1人くらいの希少性は得られることになります。

 1万時間というのは、5年から10年の練習量です。仮に営業の仕事を集中して10年続ければ、いろんな人がいる集団のなかでは、営業ができるという意味において100人に1人の存在にはなれるということです。