【ホーチミン(ベトナム)】米中の貿易摩擦が深まるに従い、ベトナムには輝く時が訪れると思われた。しかし、次第に明らかになってきたのは、同国をはじめ製造業の拠点化を目指す各国が世界の工場として中国に取って代わる準備を整えるのは、もし可能だとしても、何年も先になるということだ。  中国がスマートフォンや掃除機、ダイニングテーブルなどの一大生産拠点になれたのは、それぞれに専門化したサプライチェーンの存在があったからだ。しかし、ベトナムのサプライチェーンの充実度は中国にはほど遠い。米国市場に適合する安全基準認定や、大型投資を必要とする機械設備が整った施設を見つけることは難しい。