もちろん、不正な活動をした人は、責任や賠償を追及されてしかるべきである。と同時に、不正をした人のみならず、その人が属する「企業の評価の仕組み」や「それを促しかねない数字至上主義の組織の文化」が、不正行為を促す温床になっていなかったかなども併せて検証が必要だ。

 それくらい、企業の文化・評価制度・人事制度とは、社員を動かしてしまうものなのだ。

 営業が「短期的にすぐに結果が出る必殺技」を欲しがるのは、このような背景がある。

 企業は意図していないが、自社の営業が自発的に「短期的にすぐに結果が出る必殺技」を欲しがるように、結果的に仕向けているということだ。

「とはいっても、自分を評価するのは会社だし、会社の方針に従わざるを得ないのだから、売り上げを確実に伸ばして目標を達成できる必殺技を知りたい」と思う方もおられるだろう。

 そういう人こそ、これまで見てきたことをもう一度振り返って見ていただきたい。重要なキーワードが抜けていることに気付くだろうか?

 その重要なキーワードとは、言うまでもない。「顧客」である。

「顧客の視点」が
抜けて落ちていないか

 これまで見てきた営業のマインドも、評価制度・人事制度も、企業や組織の文化も、全て自分たちの企業の中の話であって、顧客には一切関係がないことだ。

 にもかかわらず、「顧客の視点」がすっかり抜け落ち、自社の中での自分自身の評価に右往左往している営業が非常に多い。

 本質的に、営業の評価者とは勤務先だけではない。顧客も評価者なのだ。この点を忘れてはならない。

 企業の業績とは、企業が提供した財・サービスに対して顧客が支払ってくれた対価である。

 顧客が支払ってくれた対価の多寡が、顧客からの企業への評価だ。顧客以外に自社にお金を支払ってくれるところは、ほとんどない。なんらかの助成金や銀行からの借入金、自社株の売却で得たお金くらいだろう。