『週刊ダイヤモンド』2019年8月10・17日合併号の特集「完全版 家族を困らせない 相続」内で好評の記事、「第1章 後悔しない相続 失敗談に学ぶ」で紹介したケースを、4コマ漫画にしてダイヤモンド・オンラインで特別に公開します。

相続マンガ第3回「借金アパート」
Illustration by Takashi Sato
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利便性の悪い土地に
借金でアパートを建ててしまった

 「ここにアパートを建てれば相続税の節税になりますよ」

 相続税評価額が2億円の土地を持つ町田正さん(仮名・70歳)は、誠実な雰囲気の営業マンのその言葉を信じてしまった。

 ハウスメーカーの営業マンが町田さんのところに通ってくるようになったのは10年ほど前。最初は話を聞くのも面倒だったが、正直、相続税はずっと気になっていた。手持ちの資金はなかったが、節税効果に魅力を感じ、最終的に1億円を借金してアパートを建てた。駅から徒歩30分の立地だった。

 新築のうちは空室もなく、家賃収入を借金返済に充てられ、アパート経営は順調だった。ところが、数年たつと空室が出るようになってきた。家賃を下げることも考えたが、それでは返済に影響が出てしまうので下げられない。

 効果的な空室対策もできないまま10年が過ぎ、今度は老朽化も目立ってきた。修繕しようにも資金がないので対処できない。すると、ますます空室率が上がる。

 節税対策のために始めたはずのアパート経営だったが、破産の可能性まで出てきてしまった。