Photo:Family Mart
ファミリーマートは2019年度にリテールメディア事業に参入。23年には、28年までに事業利益100億円を目指すと宣言した。目下、精力的に進めているのは、他の小売り企業との連携だ。店舗内のデジタルサイネージ広告や購買データの活用で、どのように他の企業と手を携えるのか。連載『流通・小売り フロントライン』の本稿では、ファミリーマートの関係会社でリテールメディア事業を主導する2人のキーマンに聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)
リテールメディアが新たな収入源に
陣営を広げるのはどこ?
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店で、店内に設置したメディアや自社のアプリに広告を掲載し、販売促進を図る「リテールメディア」に注目が集まっている。
背景にあるのは、インフレや円安による仕入れ値の上昇や、人手不足による人件費高騰などの、小売り業界に対する強烈な向かい風だ。さらに、新店を出そうにも、建築コストは「少なくともゼロ年代の1.5倍はかかる」ほどで、これまでのように売上高を成長させる計画は描けなくなっているのだ。
そこで、各社が目を付けたのがリテールメディアの分野である。新たな収入の柱になり得るとみて、投資を加速させている。ファミリーマートは2019年度から500億円以上を投じ、サイネージ広告や購買データの活用を強化。三菱食品などの卸売業も参入し始めている。
これまで小売り業者はPOSデータを基に、売れ筋商品や客層の分析を行ってきた。POSデータは、いつ、どの商品が、幾らで何個売れたのかを記録している。そこに今は、自社決済システムなどとひも付けることで、「誰が何を買ったか」が可視化できるようになった。
すると、食品や消費財などのメーカー側は、テレビCMなどのマス広告と比べて、狙った消費者層に広告を打つことが可能となり、より高い効果が見込めるようになる。小売り側も、効果に見合った広告費を得られるというわけだ。
ただし、そんなリテールメディアという新たなフロンティアで大きな収益を得られるのは、限られた大手だけかもしれない。中小の小売業者がリテールメディアに投資を行い、自社で広告を獲得していくのは容易ではない。自力でリテールメディア事業を立ち上げられない中小は、購買データを外部プラットフォームに販売することが選択肢の一つとなる。となれば、どこの陣営が広がるのか。今後、小売業界ではリテールメディアを軸とした合従連衡が増えていきそうだ。
今回、話を聞いたゲート・ワンの速水大剛取締役副社長COOと、データ・ワン国立冬樹社長は、小売業界内でリテールメディア事業に積極的なファミリーマートの関係会社で、プロジェクトを先導している2人だ。リテールメディアの最新動向について、語ってもらった。
6年目のサイネージ事業
非配荷メーカーの売上げが4割に
――21年度から、ファミリーマートは店舗にデジタルサイネージの「ファミリーマートビジョン」を設置し、広告事業を拡大してきました。今後、サイネージ事業をどのように強化しますか。
速水氏 デジタルサイネージ事業は6年目を迎えました。現在、全国の約1万1000店に設置が完了しており、今後は2~3年で約1万2000店までの拡大を目指します。
ファミリーマートは店舗でサイネージ事業を展開するほか、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)など他の小売業と購買データを連携し、約5500万IDの顧客基盤を保有している。リテールメディアの分野で、どのようにして他の小売業と連携を強めていくのか。顧客データの活用を担う、データ・ワン代表取締役社長の国立冬樹氏が“秘策”を明かした。







