『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム対応のプロ、山下由美さんがこれまでにない画期的なクレーム対応の話しかたを初公開。「怒鳴る」「キレる」「自分が正しいと言い張る」「理詰めで責める」「言い分が見当違い」「多人数で取り囲む」「シニアクレーマー」などあらゆるお客さまからのクレームを、たったひと言「そうなんです」と言わせるだけで解決します。

お客さまの気持ちを代弁すれば、「この人、わかってる」と感じてもらえる

 一部のクレーマーを除いて、お客さまは好き好んでクレームを口にするわけではありません。実際に困っている問題があって解決してもらう必要があったり、このままではお店や会社が困るだろうという親切心から情報提供してくれているのです。

 ですから、問題が起きた理由や解決のプロセスなど、正しい説明を求めているわけではありません。むしろ正しいことを言えば言うほど、「そんなことを聞きたいわけじゃない!」と怒りに火をつけることにもなりかねません。

 では、どのように対応すればいいのでしょうか。お客さまの気持ちを代弁して、投げかければいいのです。すると、お客さまは「この人はわかってくれている!」と感じて、「そうなんだよ!」と返してくることでしょう。それに伴い、怒りも一気にトーンダウンするのです。

 実際のケースで見てみましょう。

ケース 生温いビールを出してしまったときのマズイ対応
 日が暮れても暑い、ある夏の夜。やっと仕事を終えて、「こんな日は、冷たいビールを!」と同僚と居酒屋へ。ところが、のれんをくぐると、店内は大混雑。店員は何度呼んでも「少しお待ちください」と言うだけで来てくれません。

 やっと注文を取ってもらい、15分ほどして、ようやく大ジョッキが目の前に運ばれてきました。ところが、ジョッキを持った瞬間、「ん? ジョッキが冷えてない……」と嫌な予感。ビールに口をつけると、思ったとおり、ほぼ常温でした。

「さんざん待たせておいてこれかよ!」

 腹を立てた同僚が、通りかかった店員をつかまえて、「おい! なんなのこのビール⁉ ものすごく温いんだけど!」と怒り始めました。

 呼び止められた店員は疲れていたのか、少し面倒くさそうに答えました。「あー、すみません。急な団体のお客さまが入っちゃって、バタバタなんですよ。あと30分くらいしたら冷えたのをお出しできると思います」

 さあ、どうでしょう。もうおわかりですよね。「急な団体が入った」という言い訳と、「あと30分すれば冷えたビールを出せる」というお店にとっての正しい説明。いずれも、怒りの真っただ中にいるお客さまに最初に言うべき言葉ではありません。ますます怒りをヒートアップさせるだけです。

 では、どう声かけすればよかったのでしょうか? このケースでは、お店も忙しいため、お客さまの興奮が落ち着くのを待っている時間はありません。即時対応が求められます。

 こんなときは、まずはお客さまの気持ちを代弁してみましょう。このケースでは、お客さまの怒りのテンションに合わせて、大きな声でこう言えばいいのです。「こんな暑い日に、温いビールはお口に合いませんよね。本当に申し訳ありません!」

 すると、お客さまも「そうだよ。たまんないよ」と言いつつ、怒りが少し和らぐのです。この時点で、お客さまはあなたを“味方”と認識しています。少なくともあなたに向かっていた怒りはほぼ解消することになります。

 そのうえで、現在のお店の状況や冷えたビールを提供できるまでの時間を説明すれば、怒りを買うことはなく受け入れてもらえるのです。