しかし、韓国側の求める対話はあくまでも輸出管理をめぐる対話であるはずで、日本の植民地支配の時代に関連する「元徴用工」の問題に関する対話ではない。

 韓国の言う融和姿勢はあくまでも韓国にとって都合のいいものであり、日本が求めるものではない。これに日本が応じることはあり得ないことを韓国だけが理解していない。文政権高官の発言は自分勝手な言い分を通そうとしているだけである。

 また、日本が輸出管理の運用変更を行った際、安全保障上の理由を挙げたことについて、日本が韓国を安全保障上の友好国とはみなしていないから、GSOMIAも破棄すると述べた。しかし、日本の輸出管理の見直しは、軍事転用可能な物品が韓国から流出していることを懸念するものであり、これは本来韓国が取り締まるべきものである。日韓の安保協力に疑念を差し挟むものではなく、韓国の言い分は全くの筋違いである。

国防部と外交部は破棄反対
青瓦台の過激派が強行した

 GSOMIA破棄は青瓦台における会合で決定された。そこに文大統領の意向が強く反映されていたことは言うまでもない。会合では、国防部と外交部が破棄に反対したといわれている。しかし、今の青瓦台を牛耳っているのは政治闘争ばかりしてきた高官で、その一部によって押し切られたといわれている。韓国政府を支えてきた官僚の理性的な判断を覆す青瓦台の高官たちが、今の日韓関係を崩壊させているのだ。

 韓国では、日本とは違い閣僚も単独で大統領に会う機会は少なく、多くの場合、青瓦台の国家安保室や首席秘書官などを通じ大統領の指示を得ているようである。これでは大統領が的確な判断を下すのに必要な情報が集まらず、大統領の考えに沿っていたり、称賛するような情報しか集まらなくなってしまう。非常に危険な状態である。

情報収集能力は自衛隊が上
破棄の悪影響は韓国に

 GSOMIA破棄は韓国の安保に大きな影響を与えかねない。GSOMIAに基づく情報の交換は16年の署名以来29回行われているが、その多くは北朝鮮が発射するミサイルに関するものである。北朝鮮のミサイル発射に関する情報収集能力は日本の方が進んでおり、破棄に伴うマイナスは韓国の方が大きいというのが、軍事専門家の共通する見解である。