昨年IMFの支援受けるも再びペソ安に

 その後、中銀はIMFとの間で支援協議を進める一方、ペソ相場の安定に向けて防戦状態を余儀なくされた。そのため、昨年6月にIMFとの間で向こう3年を対象とする総額500億ドル規模のスタンドバイ取極(SBA)による融資枠の設定でいったん合意したが、9月に枠を拡大し総額571億ドルとすることで最終合意するなどのドタバタもみられた。

 IMFとの合意に基づく形で、ペソ相場は変動幅を一定範囲内におさめる「通貨バンド制」に移行したことに加え、同国政府は歳出削減やマネタリーベースの抑制を図る金融政策スキームを採用した結果、その後のペソ相場は落ち着きを取り戻した。

 しかし、足下では政局など新たな不安要因を元に、ペソ相場に対する下落圧力が急速に強まり、アルゼンチン金融市場は再び動揺している。同国では今年10月に次期大統領選挙が予定されるが、今月11日に実施された予備選挙において、野党候補のアルベルト・フェルナンデス元首相の得票率が半数近くに達し、現職のマクリ大統領の得票率を大きく上回ったことで再選が怪しくなったことがきっかけとなった。

 フェルナンデス陣営ではフェルナンデス前大統領を副大統領候補に据えており、仮に政権交代が実現すればIMFと支援合意の再交渉を求める考えを示している。また、前政権の頃と同様に「バラ撒き」志向の強い財政運営が行われるなど、債務返済能力に対する疑念が高まりやすくなることが懸念される。